海外FXの税金を初心者向けにわかりやすく解説。節税のコツも教えます
海外FXは海外のFX口座を使うので、日本で税金を納める必要はないと思いがちです。
しかし、ある程度の利益を出した場合は、海外FXでも日本で税金を納める必要があります。
海外FXの導入を検討している方や初心者は、海外FXの税金はどう納めればいいかわからない場合も少なくないでしょう。
国内FXから乗り換えを検討している場合も、国内FXとの違いに注意する必要があります。
そこで今回は、当編集部が海外FXで利益を出した場合の税金の仕組みをわかりやすく解説していきます。
節税のコツもご紹介しますので、海外FXの税金の仕組みが分かるだけでなく、税額を効率的に減らすポイントもつかめるようになります。
ぜひ最後までご覧ください。
1.海外FXも税金を納める必要がある
海外FXである程度の利益を出した場合は、確定申告をして税金を納める必要があります。
確定申告の仕組みをご紹介します。
海外FXの利益は確定申告が必要
海外FXで一定の利益を出すと確定申告が必要になります。
確定申告とは、給与所得以外の所得を得ている方が、年間の収入と支出の結果を申告し、納めるべき税額を確定する手続です。
海外のFX口座を使用する海外FXは、名称や性質から日本国内の確定申告は必要ないと誤解されることもあります。
しかし、日本国内に居住している場合は、海外FXである程度の利益を出せば確定申告が必要になります。
海外FXで確定申告が必要な理由
海外FXで確定申告をして税金を納めなければならない理由は、主に所得税法の規定によります。
所得税法では、日本国内に住所を有しており、かつ現在まで引き続いて1年以上居所している者を、「居住者」と規定しています。
居住者について所得が生じた場合、所得が発生した場所に関係なく、居住者に対して課税できることが法によって認められています。
そのため、海外FXの利益についても確定申告で納付する必要があります。
海外に居住している場合
一方、海外に居住している場合は日本で確定申告をして納税する必要はありません。
居住している国の制度に則って、居住国に税金を納めることになります。
注意点として、一見すると海外に居住していても、日本にも定期的に滞在している場合などは、住居、職業、資産の所在、滞在日数、国籍などの総合判断によって、居住者とみなされて税金を納めなければならないことがあります。
日本での納付を逃れるために海外に住所を移しても、日本に滞在している事実があれば課税されることがあるので注意しましょう。
海外FXで確定申告が必要な金額
海外FXで利益を出した場合に確定申告が必要になるのは、サラリーマンなどの給与所得者は年間利益が20万円以上の場合です。
専業主婦などの給料を得ていない非給与所得者は、海外FX以外に収入がない場合は、年間利益が38万円以上になると確定申告が必要になります。
海外FXで利益が出たと判定されるのは、ポジションを決済して損益が確定した時点です。
ポジションを保有している段階ではまだ課税の対象外なので注意しましょう。
給与所得者の場合、決済してから年間の利益が20万円以上であれば、海外FXについて確定申告をして税金を納める必要があります。
2.海外FXの税制度の特徴
海外FXの税制度の大きな特徴は、利益が大きいほど納付する税の金額も高くなることです。
海外FXの税金の仕組みをご紹介します。
海外FXは総合課税の雑所得に該当する
税金には様々な種類がありますが、海外FXは「総合課税の雑所得」という種類に該当します。
総合課税は利益が大きいほど税金の割合が高くなるのが特徴で、累進課税といいます。
例えば、海外FXを含む総合課税の年間の利益が195万円以下の場合、税率は15%です。
ところが、利益が1,800万円を超える場合は税率は50%になります。
利益が多いほど税率が上がるのが累進課税の特徴です。
国内FXの場合、利益の一律20%が税率になります。
海外FXと国内FXを比較すると、おおむね年間で330万円以下の利益であれば、海外FXのほうが税金が安くなります。
海外FXの税金を考えるポイント
海外FXは利益が大きくなるほど税率が高くなるため、税額の観点からは国内FXの方が得と思うかもしれません。
もっとも、税金が高いか低いかは、あくまで総合的な利益を考える目安の1つです。
例えば、200万円の税金と100万円の税金がかかる場合、一見すると100万円の税金のほうが得に見えます。
ところが、1000万円の利益にかかる200万円の税金と、300万円の利益にかかる100万円の税金では話が違ってきます。
利益から税金を差し引いて手元に残る金額は、前者が800万円で後者が200万円です。
利益に大きな差があるので、税金が高いか安いかはあまり重要になりません。
どの取引から大きな利益を得られるかを考えるには、総合的な利益が高いかどうかで判断するのが大切です。
その点、海外FXはハイレバレッジやボーナスなど、成功すれば高い利益を得られる仕組みが充実しています。
一見すると税金が高いように見えても、それに見合った大きな利益を得られるのは大きな魅力です。
3.海外FXで節税する方法
海外FXで利益を出した場合に、節税をして納める税金を少なくする方法をご紹介します。
海外FXは他の所得と損益通算できる
海外FXは他の所得と損益通算できるのが特徴です。
損益通算とは、一定期間における利益と損失を相殺できる制度です。
損益通算が認められれば、海外FXの利益と他の損失を相殺し、課税の対象になる金額を下げることができます。
例えば、ある年に海外FXで100万円の利益を出した場合、そのままでは100万円について課税対象になります。
しかし、海外FXとの損益通算が認められている他の所得で100万円の損失を出していれば、利益と損失が相殺されて0になり、課税対象になりません。
海外FXとの損益通算が認められているのは、海外FXと同じ「総合課税の雑所得」に含まれる所得です。
総合課税の雑所得に該当する代表的な項目は以下のとおりです。
- ・他の海外FXの口座
- ・仮想通貨の利益
- ・アフィリエイトからの収入
- ・バイナリーオプションの収入
- ・ネットオークションの利益
- ・印税、原稿料、講演料
- ・公的年金
海外FX以外にも総合課税の雑所得に該当する取引をしている場合は、損益通算について確認しておきましょう。
不動産所得で赤字があると損益通算できる
海外FXだけでなく、アパートを貸し出すなどの不動産経営をしている場合、不動産所得で損失があれば、海外FXの利益から損益通算することができます。
総合課税の1種である不動産所得は、経営状態によっては赤字が発生することがあります。
家賃収入よりも経費(管理費、修繕費、減価償却費など)の出費が上回ってしまう場合です。
例えば、年間の家賃収入が50万円の不動産にかかる経費が80万円の場合、不動産所得は30万円の損失が出ています。
同年の海外FXの利益が100万円の場合、不動産所得の損失を損益通算すれば、海外FXの利益を80万円にすることができます。
経営している不動産で赤字が出ている場合は、必ず損益通算して節税しておきましょう。
海外FXのための経費は計上できる
海外FXをするために支出した費用は、確定申告の際に経費として計上できます。
海外FXの勉強のために購入した書籍の代金や、取引のためのプロバイダー料金などです。
経費が認められた場合、海外FXの利益から差し引くことができます。
例えば、海外FXで年間に100万円の利益を得て、経費として60万円が認められた場合、100万円から60万円が差し引かれるので、課税対象になるのは40万円です。
経費は自分から申告する必要があるので、確定申告の際に自ら計上しないと算入されません。
海外FXを始めたばかりの頃は経費を忘れがちなので注意しましょう。
海外FXの経費として認められる項目
支出した費用が海外FXの経費として一般に認められる例として、以下のものがあります。
- ・海外FXに関する書籍やDVDなど
- ・海外FXに関するセミナーの参加費用(セミナーに参加するための交通費を含む)
- ・取引に用いるプログラムの導入費用
- ・VPS(仮想専用サーバー)の費用
経費を申告する際に証拠として領収書などを提出する必要はありませんが、不明瞭な経費は後で税務署に説明を求められる場合があります。
海外FXに関する領収書やセミナーの資料などは、きちんと保管しておきましょう。
支出の一部が経費として認められる項目
支出した費用の全部ではなく、一部のみ経費として認められるものもあります。
海外FXの取引に使用するパソコンの購入費などです。
パソコンはFXの取引以外にも使えるので、どの程度の割合で海外FXに使用したかの割合に応じて経費が認められます。
例えば、パソコンを使用する時間の半分の割合で海外FXに使っている場合、パソコンの費用の半分が経費になります。
割合はそれほど厳密である必要はありませんが、不明瞭な場合は指摘されることがあります。
支出した費用の一部が海外FXの経費として一般に認められるものとして、以下の例があります。
- ・海外FXに使用するPCの購入費
- ・海外FXをする場所(事務所など)にかかる家賃などの費用
- ・場所にかかる机、椅子、周辺機器などの費用
- ・取引に使用するスマートフォンや携帯電話
- ・海外FXをするためのインターネット回線、wifi、プロバイダー料金
4.海外FXの税金に関する注意点
海外FXの利益について税金を納める場合、国内のFXとは異なる点があるので注意しましょう。
注意点を解説していきます。
海外FXは繰越控除できない
国内FXでは繰越控除が認められますが、海外FXでは繰越控除ができない点に注意が必要です。
繰越控除とは、ある年に利益を出したとしても、前年度の損失を申告していれば計算の際に損失を含めることができる制度です。
繰越控除は通算で3年間認められます。
ある年に100万円の利益を出した場合、そのままでは100万円の利益について課税の対象になります。
繰越控除が適用されると、前年度の損失を繰り越して計算することができます。
例えば、ある年に100万円の利益を出し、前年度に200万円の損失を出していた場合です。
繰越控除が適用されると、100万円の利益に前年度の200万円の損失が計上されるので、合計では100万円の損失になります。
合計がマイナスなので課税されません。
繰越控除は前年に大きな損失を出した場合に便利な制度ですが、海外FXでは繰越控除が適用されません。
そのため、海外FXで100万円の利益を出した場合、前年度に大きな損失があっても100万円の利益がそのまま課税の対象になります。
年をまたいで損失を計上することができないので、海外FXでは大きな損失を出すような取引には注意する必要があります。
海外FXと国内FXは損益通算できない
損益通算は一定期間における利益と損失を相殺できる制度ですが、国内FXは海外FXと課税制度が異なるため、損益通算ができません。
例えば、海外FXで100万円の利益を出し、国内FXで100万円の損失を出したとしても、損益通算できないので海外FXは100万円がそのまま課税対象になります。
一方、同年度における海外FXの口座同士は損益通算の対象になります。
忘れずに確認しておきましょう。
5.海外FXの利益を申告しないと脱税になる
海外FXの利益について、本来必要なのに確定申告をしなかった場合は、脱税としてペナルティの対象になるので注意しましょう。
海外FXの脱税は基本的にバレる
本来は申告すべき所得があるにも関わらず、確定申告をしなかった場合は脱税にあたります。
海外FXは黙っていれば脱税してもバレないのではと思われるかもしれませんが、実際には以下のような様々な要素からバレてしまいます。
- ・日本国内の銀行の入出金の記録
- ・クレジットカードの利用履歴
- ・web上の決済サービスの利益
海外の銀行口座であればバレにくいという話もありますが、国税庁は海外の銀行に口座情報の提供を求めることもできるので、確実にバレない方法ではありません。
脱税がバレるとペナルティが科される
バレにくいかどうかに関わらず、脱税は全くおすすめできません。
大きな理由は、脱税が明らかになると重いペナルティが科されるからです。
まず、本来は納付すべき税金の未払いが把握された場合は、追徴課税の対象になります。
追徴課税は税金を適正に納付しなかった場合に科されるもので、本来納めるべき金額よりも多く納付することになります。
追徴課税の割合は、税金を納めなかった理由によって異なります。
故意でなくても1〜2割程度、故意の脱税の場合は4割程度の追徴課税を覚悟する必要があります。
また、意図的に脱税した金額が大きく、かつ何年も繰り返していたような悪質なケースでは、逮捕される場合もあります。
脱税がバレてしまえば、本来納付すべき金額よりも多く納めることになるほか、最悪の場合は逮捕される可能性もあります。
くれぐれも脱税だけはしないように注意が必要です。
6.海外FXの税金の仕組みを知って快適な取引を
海外FXで一定の利益を出した場合、日本に居住していれば確定申告をして税金を納める必要があります。
給与所得者の場合、海外FXの年間の利益が20万円以上の場合は確定申告が必要です。
海外FXの税金の種類は総合課税の雑所得に分類されます。
総合課税は累進課税を採用しており、利益が大きいほど税率が高くなります。
必要経費などを申告し、節税対策をしっかりするのが大切です。
利益が大きくなると税金も高くなりますが、海外FXは成功すれば利益自体が跳ね上がります。
一部を税金として納めても、手元に残る利益は大きくなります。
税金の仕組みを把握して、海外FXを快適に楽しみましょう。
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