更新:2023.03.29 作成:2023.03.29

海外FXの税金とは?国内FXとの違いや節税対策も解説

海外FXの税金とは?国内FXとの違いや節税対策も解説

 

海外FXでの取引は、多くの人にとって魅力的な投資手段の一つとなっています。

 

しかし、利益が発生すると同時に税金がかかることも覚えておかなければいけません。

 

海外FXにおいて税金が発生するタイミングや計算方法、さらには国内FXとの違いや税金を抑える方法、確定申告の必要性などにはポイントがあります。

 

経費を計算する、控除額や損失額を計上して申告する、口座を法人化するなど、海外FXでの税金を抑えるための方法を理解することが重要です。

 

この記事では、海外FXでの税金に関する基本的な知識や、具体的な節税対策などを紹介します。

 

海外FXでの税金に関する基本的な知識を身につけ、正しい節税対策を実施してください。

 

海外FXで税金が発生するタイミング

 

海外FXで税金が発生するタイミング

 

海外FXで取引をして利益が発生した場合は、原則課税対象となります。

 

なお、税金が発生するタイミングはポジションを決済し利益が確定した瞬間であるため、利益を出金した瞬間ではない点に注意してください。

 

そして、会計期間は1月1日から12月31日までの1年間で、期間中にポジションを決済した分が確定申告に使われます。

 

また、海外FX口座で取引を行う場合、口座の種類によって税金は異なります。

 

個人口座や法人口座などタイプによって異なるため、口座開設前に調べておきましょう。

 

利益が発生した場合は個人口座であれば所得税として課税され、法人口座の場合は法人税が課税されます。

 

法人税の最大税率は23.2%、所得税の最大税率が45%であるため、額が大きくなるほど法人口座の方が税率を抑えられます。

 

さらに、取引に使用する通貨によっても税金が異なります。

 

米ドルやユーロなどの外貨で取引をする場合、日本円との為替差益によって課税される可能性があります。

 

これらのポイントを抑えておくことで、海外FXでの取引における税金の発生タイミングを把握し、効果的な節税対策を考えられるでしょう。

 

海外FXの税金計算方法

 

海外FXの税金計算方法

 

海外FX・国内FX問わず、利益は所得として扱われます。

 

つまり、サラリーマンの場合は年間の累計利益額が20万円を超える、個人事業主・専業主婦(主夫)などは年間所得が48万円を越えると確定申告が必要です。

 

具体的な計算方法は以下となります。

 

  • ・(海外のFX利益×所得税率)-控除額=所得税額
  • ・海外FXの利益×住民税率=住民税額
  • ・所得税額×復興特別所得税率=復興特別所得税額

 

3つを合計した金額が、納めるべき税額です。

 

また、海外FXの場合は日本国内の金融機関に口座を開設している場合と、海外の金融機関に口座を開設している場合で税金の計算方法が異なります。

 

日本国内の金融機関に口座を開設している場合は、税金は日本国内の税制に従って計算されます。

 

一方、海外の金融機関に口座を開設している場合は、現地の税制に従って計算されると理解しておいてください。

 

誤って計算をすると税金の支払い額が不足しかねません。

 

したがって、あまりにも金額が大きい、正確に税金の計算をしたい場合は税理士や会計士への依頼を検討してみてください。

 

海外FXと国内FXにおける税金の違い

 

海外FXと国内FXにおける税金の違い

 

海外FXと国内FXにおける税金の違いについては、以下のような点が挙げられます。

 

課税方法

 

まず課税方法と違いは、国内FXで取引して得た利益は「先物取引に係る雑所得」になり、海外FXで取引して得た利益は「雑所得」という点です。

 

先物取引に係る雑所得の税率は一律20.315%、雑所得の場合は他の収入と合わせて課税となる点が国内FXと海外FX、それぞれの課税方法の違いです。

 

税率

 

海外FXと国内FXにおける大きな違いとして税率が挙げられます。

 

国内FXは一律20.315%、海外FXは5〜55%程度の累進課税になります。

 

なお、累進課税の詳細として税率と控除額は以下となるため把握しておいてください。

 

  • ・1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
  • ・1,950,000円から3,299,000円 10% 97,500円
  • ・3,300,000円から6,949,000円 20% 427,500円
  • ・6,950,000円から8,999,000円 23% 636,000円
  • ・9,000,000円から17,999,000円 33% 1,536,000円
  • ・18,000,000円から39,999,000円 40% 2,796,000円
  • ・40,000,000円以上 45% 4,796,000円

 

これに加えて、復興特別所得税が所得税×2.1%、住民税が約10%かかるため、合計5〜55%となります。

 

国内の場合は所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%で合計20.315%です。

 

所得額によっては、国内の方がお得になるケースもあります。

 

海外FXで税金が発生する条件

 

海外FXで税金が発生する条件

 

海外FXで所得がいくらになると税金が発生するかわからない方は少なくありません。

 

その条件は、会社員・アルバイト・パートと個人事業主・専業主婦の場合で異なります。

 

会社員・アルバイト・パートの場合

 

会社員、アルバイト、パートなどの場合、海外FXで得た利益は、所得税や住民税の課税対象となります。

 

具体的には以下の場合に課税されるため把握しておきましょう。

 

  • ・海外FXの所得-経費=が20万円以上の場合
  • ・年間の海外FXの取引が、総合所得の合計金額に含まれる場合
  • ・取引の成果が、雑所得として申告する必要がある場合
  • ・海外FXを行うことが、事業の一環として認められる場合

 

重要なポイントとしては、年間所得20万円以下の場合は確定申告が不要です。

 

確定申告が不要とは、所得税がかからないことを意味します。

 

なお、1円でも利益が出ている場合は住民税の申告が必要となるため注意してください。

 

個人事業主・専業主婦の場合

 

個人事業主・専業主婦などの場合も、海外FXで得た利益は所得税と消費税の課税対象となります。

 

具体的には以下の場合に課税されます。

 

  • ・海外FXの所得-経費=が48万円以上の場合
  • ・海外FXが事業の一環として認められる場合
  • ・海外FXが趣味や娯楽の一環として認められる場合
  • ・海外FXが投資活動の一環として認められる場合

 

重要なポイントは、年間所得が48万円以下の場合に確定申告は不要となることです。

 

1円でも利益が出ている場合、住民税の申告が必要なため注意しましょう。

 

海外FXの税金を抑える方法

 

海外FXの税金を抑える方法

 

海外FXの節税方法には様々な方法があります。

 

知っておきたい節税方法をいくつか紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。

 

経費を計算する

 

海外FXを行う上でかかる費用は、すべて経費として計上できます。

 

具体的には口座維持費・手数料・スプレッド・ツール代・通信費・書籍代・セミナー参加費などが該当します。

 

これらの費用を計算し確定申告の際に経費として申告することで、税金を抑えることができます。

 

控除額・損失額を計上のうえ申告する

 

海外FXで利益を得た場合、その一方で損失をうむ可能性はゼロではありません。

 

損失が出た場合は、損失分を利益から差し引いた金額が課税対象となります。

 

そのため、損失を計上することで税金を抑えられるのです。

 

また、前述の通り海外FXにおいては一定額まで所得税はかかりません。

 

日本国内で確定申告をする際、サラリーマンは20万円に満たない場合、専業主婦などは48万円まで確定申告は不要です。

 

口座を法人化する

 

海外FXでの取引を個人名義で行う場合、所得税・住民税・社会保険料などの負担が発生します。

 

しかし、法人名義で海外FX取引をする場合は税金負担が軽減されることがあります。

 

具体的には、年間所得が900万円近くなってきたタイミングで法人化を検討するべきです。

 

理由は、「個人で稼いだ場合の税率」が「法人で稼いだ税率」を超えてしまうことが挙げられます。

 

個人の場合は以下のように課税されるため把握しておいてください。

 

  • ・1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
  • ・1,950,000円から3,299,000円 10% 97,500円
  • ・3,300,000円から6,949,000円 20% 427,500円
  • ・6,950,000円から8,999,000円 23% 636,000円
  • ・9,000,000円から17,999,000円 33% 1,536,000円
  • ・18,000,000円から39,999,000円 40% 2,796,000円
  • ・40,000,000円以上 45% 4,796,000円

 

上記にプラスして、住民税が10%となります。

 

そして、法人の場合は以下の通りで、「法人税+法人住民税+法人事業税」の合計になります。

 

  • ・~4,000,000円まで 約22%
  • ・4,001,000~7,999,000円まで約25%
  • ・8,000,000~約25%

 

なお、800万円からはどれだけ稼いでも25%以上にはなりません。

 

個人との場合を比較しても、やはり年間所得が800万円を越え900万円に近づいたタイミングが良いでしょう。

 

利益が大きい場合は税理士に相談する

 

海外FXでの取引で大きな利益を得た場合は、税理士への相談がおすすめです。

 

税理士からのアドバイスを受けることで、適切な節税方法を知ることができます。

 

そのため、確定申告が必要な利益が出ている、そして税理士費用を支払っても十分に残るほどとなる際、税理士に依頼すると良いでしょう。

 

なお、サラリーマンの場合は課税対象が年間20万円以上の場合に確定申告が必要であるため、税理士費用を考慮すると30万円以上の利益が出た場合の依頼がおすすめです。

 

税理士はお金に関する専門家であることから税金に関する知識が豊富なため、海外FXで得た利益を最大限に活用できるよう適切なアドバイスを実施してくれます。

 

例えば、法人化のタイミングや控除可能な経費の詳細などについて、理解できるまでしっかりとアドバイスを受けられるでしょう。

 

また、税理士に相談することで確定申告の手続きをスムーズに進められることに繋がります。

 

特に外国取引に関する税金の申告は複雑な手続きが必要となるため、専門家に相談することでミスを防止できるでしょう。

 

ただし、税理士に相談する場合は費用が発生します。

 

税理士により費用は異なるため、事前に相談料や報酬などは確認しておいてください。

 

雑所得の確定申告の場合、税理士費用の相場は5万円前後です。

 

海外FXで税金が発生した際は確定申告必須

 

海外FXで税金が発生した際は確定申告必須

 

海外FXで税金が発生した場合は、確定申告が必要です。

 

しかし、海外FXでの取引では源泉徴収制度が適用されていないため、確定申告によって課税対象の所得と税額を申告する必要があります。

 

なお、当然ですが脱税は発覚すると人生に悪い影響を与えてしまうため、きちんと法に則り確定申告の手続きを進めてください。

 

確定申告は、毎年2月16日から3月15日までの期間に実施します。

 

ただし、e-Taxを利用する場合は3月15日まで申告が可能です。

 

確定申告に必要な書類には、納税証明書・源泉徴収票・海外FXで得た利益を記録した取引履歴書などが挙げられます。

 

課税対象に該当するものは、海外FXで得た利益です。

 

損失があった場合には、その損失を差し引いた金額が課税対象となります。

 

また、海外FXで得た利益はその国の法律に基づいて課税されるため、日本とその国との間に租税条約がある場合には税額が軽減される場合があります。

 

そのため、確定申告をする前に租税条約の内容を確認することも重要です。

 

海外FXでの確定申告は、専門的な知識を必要とする場合があります。

 

特に取引内容が複雑、あるいは大きな利益を得た場合などは税理士または会計士などの専門家にアドバイスを求めましょう。

 

適切な手順を踏み確定申告をすることで、不必要な税金の支払いを回避できます。

 

まとめ

 

海外FXでの取引においては、利益が発生した場合に税金がかかります。

 

その際、海外FXでの税金発生タイミングや計算方法、さらには国内FXとの税金の違いや税金を抑える方法などを理解しておきましょう。

 

なお、具体的には経費を計算する、控除額や損失額を計上し申告する、口座を法人化するなどの方法があるため、ぜひ参考にしてみてください。

 

また、取引で大きな利益を得た場合には、お金に関する知識を豊富に有する税理士への相談がおすすめです。

 

プロに任せることでミスをする可能性を軽減できるため、安心してFXの取引に集中できるでしょう。

 

税理士へ依頼をする際は、事前に費用を確認しておいてください。