海外FXの税金計算方法を解説!気になる確定申告の方法も紹介
海外FXでは一定以上の利益を上げると確定申告をしないといけません。
サラリーマンなどの給与所得の人であれば年間20万円以上、専業トレーダーであれば年間48万円以上で申告が必要です。
そこで気になるのが、「海外FXの税金の計算方法」ではないでしょうか。
税率や課税対象・非課税対象、控除額など計算する上で詳しく知っておきたいポイントがありますが、これらはやや複雑です。
この記事では、知識ゼロからでも税金を計算できるよう、海外FXにおける税金の計算方法を分かりやすく解説していきます。
また、確定申告のやり方も紹介しており、税金をどのように収めれば良いかまでも把握できるため、ぜひ参考にしてみてください。
海外FXの税金計算におけるポイント
海外FXの税金計算のポイントは4つあります。
ここではその4つのポイントについてお伝えしています。
累進課税が採用
海外FXの税金は、所得が高くなるほど収める税金が高くなる累進課税が採用されています。
税金の内訳は「住民税+所得税」となり住民税は10%、所得税は所得に応じて5%〜45%の7段階に分けられます。
所得額 | 所得税 |
---|---|
1,000円 から 194万9,000円まで | 5% |
195万円 から 329万9,000円まで | 10% |
330万円 から 694万9,000円まで | 20% |
695万円 から 899万9,000円まで | 23% |
900万円 から 1,799万9,000円まで | 33% |
1,800万円 から 3,999万9,000円まで | 40% |
4,000万円以上 | 45% |
上記表に加えて住民税の10%も必要であるため、海外FXの税金は合計15%〜55%です。
含み益は課税対象外
海外FXの税金の含み益は課税対象外になります。
含み益というのは未決済のポジションで出ている利益のことです。
課税対象となるのは決済して利益が確定したポジションのみです。
よって、例えば年末の時点で80万円の利益が出ているときに30万円の利益が発生している未決済ポジションがあったとしても課税対象となるのは80万円のみとなります。
これは含み損の場合でも同様です。
含み損を確定すると利益から差し引くことができるため、収める税金を少なくできます。
しかし、未決済のままだと利益から差し引けないため税金も減らせません。
ボーナスは課税対象外
海外FXで得られるボーナスは基本的に課税対象外です。
海外FXでは口座開設したときにボーナスを得られることもありますが、それらは大抵取引のみに使用できる資金であり、口座からは出金できません。
つまり、実際のお金としては扱われないため課税対象外となるのです。
ただし、出金可能なボーナスに関しては課税対象です。
また、ボーナスを使用して上げた利益も課税対象になります。
所得税は雑所得の対象
海外FXで得た利益は雑所得の対象であるため、確定申告する際は雑所得で計上します。
課税対象となる利益は「為替差益」と「スワップポイント」です。
この2つの利益から経費を差し引いたものが所得となり、その所得額に応じて税金が発生します。
海外FXの税金計算方法
ここでは海外FXの税金の計算方法を解説しています。
今回はサラリーマンなどの給与所得者の人を対象に以下の前提条件で計算しているため、参考にしてください。
以下のモデルを参考に実際に計算していきます。
- ・年齢:36歳
- ・給与収入:500万円
- ・家族構成:独身で一人暮らし
- ・海外FXの収入:100万円
給与所得控除の計算方法
サラリーマンなどの給与所得者の場合、給与所得控除があります。
スーツや靴、服、文房具など仕事に使用する支出があるため、経費として収入に応じた控除が受けられ、確定申告する収入を減額してくれるのです。
収入金額 | 給与所得控除額 |
---|---|
1,625,000円まで | 550,000円 |
1,625,001円から 1,800,000円まで | 収入金額×40%-100,000円 |
1,800,001円から 3,600,000円まで | 収入金額×30%+80,000円 |
3,600,001円から 6,600,000円まで | 収入金額×20%+440,000円 |
6,600,001円から 8,500,000円まで | 収入金額×10%+1,100,000円 |
8,500,001円以上 1,950,000円(上限) | 8,500,001円以上 1,950,000円(上限) |
参照元:国税庁
今回のケースでは収入が500万であるため、「500万円×20%+440,000円=144万円」と計算します。
よって、今回のケースだと給与所得控除は144万円です。
給与所得控除後の計算方法
給与所得控除後の計算方法は簡単で、先ほど計算した144万円の給与所得控除を収入から引くだけです。
今回のシミュレーションの収入は500万円であるため、「500万円-144万円=356万円」となります。
サラリーマンなどの給与所得の人であれば、源泉徴収票に給与と給与所得控除後の金額が記載されているため確認してみましょう。
出典:国税庁
所得控除の計算方法
給与所得控除の金額の次に所得控除を計算します。
所得控除は15種類ありますが、サラリーマンなどの給与所得の人であれば基礎控除や社会保険料控除が適用されます。
今回のケースでは基礎控除を48万円とし、社会保険料控除を70万円として計算しましょう。
さらに、給与所得控除の金額356万円と海外FXで得た利益の100万円を計算に含めるため、「(356万円+100万円)-48万円-70万円=338万円」となります。
よって、338万円が所得控除の金額です。
納税額の計算方法
最後に所得控除の金額である338万円に税率をかけて納税額を割り出します。
先ほどもお伝えしたように、海外FXの税金は累進課税であるため以下のように所得額ごとによって税率が違ってきます。
所得額 | 所得税 |
---|---|
1,000円 から 194万9,000円まで | 5% |
195万円 から 329万9,000円まで | 10% |
330万円 から 694万9,000円まで | 20% |
695万円 から 899万9,000円まで | 23% |
900万円 から 1,799万9,000円まで | 33% |
1,800万円 から 3,999万9,000円まで | 40% |
4,000万円以上 | 45% |
今回のケースでは所得額が338万円であるため、330万円超695万円以下が当てはまり税率は一律20%になると思われるかもしれませんが実はそうではありません。
一律20%ではなく338万円の内、194万9,000円まで5%、195万円 から 329万9,000円までの134万9,000円は10%、330万円から338万円以下までの18万円は20%という考え方で進めます。
よって今回のケースでは、1,949,000円までが97,450円、195万円 から 3,299,000円までが134,900円、330万円から338万円までが36,000円となり、所得税の合計は26万8360円です。
続いて住民税を加えます。
住民税の10%を得控除の金額である338万円に掛ければOKであるため、「338万円×10万円=33万8,000円」となります。
この住民税と所得税を合計して「33万8,000円+26万8360円=60万6,0350円」となり、最終的な税金は60万6,0350円です。
海外FXの税金計算ツールの活用がおすすめ
海外FXの税金を計算する際は、インターネットの「税金計算ツール」を活用すると簡単に税額を割り出せるためおすすめです。
税金計算ツールでは収入やトレード収入、控除などを入力するだけで瞬時に税額をシミュレーション結果として計算してくれます。
手動で計算するよりも素早くかつ計算ミスなく割り出せるため利用してみてください。
ただし、ネット上にある税金計算ツールはあくまで目安です。
国民健康保険や国民年金が計算に入ってないケースもあり、専業トレーダーの税金には対応していないこともあるため、正確な数字を出すには専門家への相談がおすすめです。
海外FXと国内FXにおける税金計算方法の違い
ここでは海外FXと国内FXの税金計算方法の違いを解説していきます。
まずは2つの税金の違いの比較表をご確認ください。
海外FX | 国内FX | |
---|---|---|
所得の区分 | 雑所得 | 雑所得 |
税の区分 | 総合課税 | 申告分離課税 |
税率 | 15%~55% | 一律20.315% |
繰り越し損益 | 不可 | 3年間繰り越し可能 |
経費計上 | すべての所得に掛かる経費が計上可能 | 対象となるFX利益のみ可能 |
確定申告が必要となる金額 | 給与所得者:年間20万円の利益 専業トレーダー:年間48万円の利益 | 給与所得者:年間20万円の利益 専業トレーダー:年間48万円の利益 |
上記表の税率の部分を見て分かるとおり、海外FXと国内FXでは税率が大きく違います。
海外FXは15%〜55%であり、所得が大きいほど税率も高くなる累進課税が採用されています。
それに対して国内FXは一律20%です。
また、繰り越し損益についても異なります。
海外FXは損失を翌年に繰り越すことが出来ませんが、国内FXは3年間まで繰り越し可能です。
そして、経費計上についても違いがあります。
海外FXはすべての所得についての経費計上が可能であるため、FXは収入以外の経費も所得から差し引くことが可能。
それに対して国内FXはFX関連のもののみが対象となります。
海外FXの税金を抑える方法
海外FXの税金は累進課税であるため、ときには税額が高くなってしまうことがあります。
ただし、ちょっとしたポイントを理解しておくことで、税金を抑えられる可能性がアップするのです。
以下で重要なポイントを解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
経費として計上する
FX運用に関わる支出は経費として計上できるため、確定申告時に申告することで節税できる可能性があります。
例えば、FX取引に使用したインターネットプロバイダーの通信費用や電話料金、FXを勉強するためのセミナー受講費用(交通費も含む)などです。
その他にFXを学ぶための新聞や書籍の費用、各種消耗品費用 、取引手数料なども経費として計上できます。
経費として計上するためには何らかの「証拠」が必要であるため、領収証やレシートなどは必ず保管しておいてください。
なお、経費として計上しても必ず認められるわけではありません。
最終的な判断は税務署がするため、認められないケースもあると理解しておきましょう。
控除額・損失額を計上し申告する
控除額・損失額を計上し申告することで節税が可能です。
まず、控除額を増やせるなら確実に節税できます。
所得税はサラリーマンなどの給与所得の人であれば、「年収-(給与所得控除+所得控除)=課税所得」で計算されるからです。
所得控除の部分には様々な控除項目がありますが、それぞれ自己申告です。
そのため、使える所得控除は全部活用して控除額を増やしておきましょう。
最も代表的なものは基礎控除となり、所得が2,500万円以下の場合38万円の控除が受けられます。
所得が38万円以下の配偶者がいる人は配偶者控除が利用でき、70歳未満は38万円・70歳以上は48万円の控除が受けられます。
続いて、損失額を計上し申告することでも節税が可能です。
FXを確定申告する際に計上するのは最終的な利益であるため、損失が出た場合は利益から差し引けます。
100万円の利益があったときに20万円の損失が出たら、80万円の利益として確定申告することになるのです。
よって、保有しているポジションに含み損がある場合、それを決済することで節税できるケースがあります。
税理士に相談する
税理士に相談して節税対策を提案してもらうことも一つの手です。
費用がかかるものの専門家である税理士に依頼することで自分では気付かなかった節税対策を提案してもらえる可能性があり、費用よりも節税効果のほうが高くなるケースがあります。
節税対策だけでなく確定申告の手続きも依頼できるため検討してみてください。
口座を法人化する
FXの利益が大きい人は口座を法人化することで節税対策できるケースがあります。
海外FXの税金は累進課税が採用されているため税率の上限は45%ですが、資本金1億円以下の法人であれば上限は23.2%になるのです。
経費についても法人のほうが計上できるものの幅が広くなり、そういった意味でも節税がしやすいです。
ただし、法人化すると登記の登録費用や年間7万円の法人税がかかる、税理士を雇う費用が発生するなどの設立コストもあると知っておきましょう。
海外FXによる利益の確定申告方法
ここでは、海外FXで上げた利益の確定申告のやり方を解説しています。
確定申告には「白色申告」と「青色申告」があるため、まずはその違いを解説した上で納税方法をお伝えしてきます。
白色申告の場合
白色申告は書類を作成するだけで可能な方法です。
とてもシンプルにできるため、サラリーマンなどが副業で海外FXを行っている人が確定申告をするときにおすすめの方法となります。
ただし、控除の種類や控除金額は青色申告に比べると抑えめです。
青色申告の場合
青色申告は事前登録が必要であり、申告の際は詳細な帳簿が必要な確定申告方法です。
申告に手間はかかりますが、控除金額が65万円と白色申告よりも高い点が特徴となります。
個人事業主の人や専業トレーダーにおすすめの方法です。
納税方法
はじめに確定申告に必要な書類を揃えます。
必要な書類は以下のとおりです。
- ・税務署が配布している確定申告書
- ・年間の収支を記録した書類
- ・本人確認書類
- ・マイナンバー確認書類
- ・ある場合は源泉徴収書
- ・印鑑等
また、多くの人はMT4・MT5で取引しているかと思うため、そこから確定申告で使用する取引レポートをダウンロードしておきましょう。
やり方はMT4の場合、「ターミナル」、MT5は「ツールボックス」内にある「口座履歴」タブで対象期間を指定します。
MT4であれば以下のとおりとなるため、ぜひ把握しておいてください。
「口座履歴」の対象期間は1月1日から12月31日であり、1年分の取引履歴が表示されたら「レポートの保存」を選択してください。
必要書類と取引レポートが準備できたら、実際に確定申告をします。
確定申告の方法は3つあるためご自身に合ったものを選びましょう。
1つ目は、国税庁ホームページの「確定申告書作成コーナー」で必要事項を入力し、お近くの税務署に結果を郵送または申告する方法です。
2つ目は、お近くの税務署に行きそこの端末から必要事項を記入して、印刷してもらって申告する方法。
3つ目は、「e-Tax(イータックス)」を使用してオンラインで申告する方法です。
一番おすすめなのはe-Taxです。
e-TaxはICカードリーダーが必要になるものの、税務署に行かずにネットのみの手続きで完了できるため非常に手軽に確定申告が完了します。
まとめ
海外FXで稼いだお金にも税金は発生し、その税率は15%〜55%(住民税10%+所得税5%〜45%)です。
累進課税が採用されていることから利益が大きいほど税率が上がるため、収める税金も高くなるのが特徴になります。
税務署のチェックは非常に厳しいため、海外FXだからといって税金を誤魔化すことはできません。
税金を滞納していると後々にまとめて納税を催促されるという事態に陥る可能性があるため、きちんと確定申告しましょう。