MT4のトレーリングストップとは何か?設定と使い方を解説
「MT4のトレーリングストップって何?」「使い方が分からない」などと悩んでいませんか。
トレーリングストップはFXにおける注文方法のひとつで、うまく使いこなせば利益アップのチャンスをもらえます。
今回はFXでテクニカルな注文方法を知らない人のために、トレーリングストップのやり方をお伝えします。
この記事を読めば、FXにおける新しい儲け方をマスターできるでしょう。
トレーリングストップと関係する逆指値注文とは?
トレーリングストップとは逆指値注文の一種です。
まずは逆指値注文の基本的な意味を知らないと正しく使えません。
こちらの定義や手順を解説するので、覚えてもらえれば幸いです。
相場が希望価格に達したら注文成立
逆指値注文とは先に価格を指定しておき、相場が指定価格に達した時点で注文を成立させる手法です。
通常の指値注文は希望価格を出しながらオーダーし、同意する相手が出れば取引が成立します。
しかし逆指値注文は先に注文内容を決定し、トレーダーが決めた価格に実際の相場が達した瞬間に注文が出るパターンです。
今回の記事で紹介するトレーリングストップは、逆指値注文から発展したものです。
逆指値注文の手順は?
MT4における逆指値注文の手順をマスターしましょう。
ここでは買いポジションの売り決済の例で解説します。
- 1.Sell Stopを選択
- 2.数量を決める
- 3.Stop Loss(自動発注が決まる相場ライン)を設定
- 4.Take Profit(利益確定が決まる相場ライン)を設定(しなくても可能)
- 5.注文の有効期限を「無期限」に決めるか、時期を指定
- 6.注文ボタンを押す
以上で逆指値注文は完了です。
トレーリングストップとは何か?
トレーリングストップの定義を解説します。
設定によるメリットも示すので、ぜひ覚えてください。
決済時の逆指値の範囲が相場に合わせて動くこと
トレーリングストップとはFXにおいて、保有中の通貨に対する逆指値レートが動く仕掛けです。
相場が有利な方向に動いて一定の値幅を超えれば、逆指値レートは相場変動に応じて動き出します。
買いポジションを持っているときに価格が上がるように、レートがトレーダーに有利な方向へ動けば、決済レートも同じ方向へ移動するしくみです。
これにより有利な条件で逆指値取引がしやすくなります。
トレーリングストップとは、逆指値注文の条件をより有利に働かせるための注文形式と覚えましょう。
トレーリングストップ設定でどんなメリットがある?
トレーリングストップのメリットは、実際の相場が有利に働いたぶん、決済時の条件がよくなる可能性です。
本来の逆指値注文は、買いポジションを持った通貨が暴落したときに、ある価格まで下がった時点で決済をするという使い方が主流です。
これにより過剰な損失対策にもなります。
しかしトレーリングが機能すれば、価格が上昇で逆指値価格もそのぶん上がり、後から相場が下がっても上昇後の位置をキープしてくれます。
相場が有利な方向に大きく動けば、逆指値での決済でもポジションを持ち始めたころよりお得な条件で成立するしくみです。
このようにトレーリングストップは、有利な価格変動のピークを超えたあとでも利益を確保できる可能性を秘めています。
FXの経験が浅い人でも、操作方法をマスターすれば利益を手に入れられるかもしれません。
トレーリングストップはどうやって機能する?
この章ではトレーリングストップの機能方法をまとめました。
買いと売りに分けて動き方を解説します。
買いポジションでの機能方法
買いポジションを持っているときに逆指値売り注文でトレーリングストップを設定したら、価格上昇に合わせて逆指値価格もアップします。
たとえばUSD/JPYを買いたくて、100円の段階で注文したとします。
このときのストップ幅を2円と決めれば、最初の決済レートが98円に決まるとともに、102円を超えたときから連動を始めます。
USD/JPYが103円までアップしただけで、決済ラインのレートも101円になるのです。
一度上がった決済ラインはもう下がりません。
価格のアップが終わってUSD/JPYが101円まで落ちた瞬間、逆指値注文が出てあなたの通貨は売られます。
しかし買ったときよりも1円分の得をしているので、利益を得られます。
このように買いポジションでは、相場上昇により決済が決まる価格も動くしくみです。
売りポジションでの機能方法
売りポジションは買いと逆に考えてください。
たとえばUSD/JPYが1ドル101円のときに売りポジションを作ったとしましょう。
トレーリングストップの幅を3円にすれば、逆指値レートが104円に決まるとともに、トレーリングの開始レートは98円に決まります。
USD/JPYの価格が96円までダウンすると、決済ラインも一緒に下がって99円になります。
相場がダウンからアップに転じても決済ラインはもう上がりません。
USD/JPYの相場が99円まで上がったら逆指値注文が成立です。
このように売りポジションでも、トレーリングストップの設定と相場の展開次第では、逆指値注文で利益を出す可能性があります。
トレーリングストップの注意点
MT4において、トレーリングストップを使ったFX投資をしたいなら、以下の2点に気をつけましょう。
- ・常にMetaTraderにログインしている必要がある
- ・約定価格から指定値幅分の利益が出ないと機能しない
この2点はFX初心者が見落としがちなことなので、次の詳細情報を確認してください。
利用するなら常にMetaTraderにログインしている必要がある
トレーリングストップを使うなら、MT4へのログインが続いている必要があります。
ログアウトしている間はトレーリングも働かなくなるので注意しましょう。
このような現象が起きるのは、トレーリングストップの機能はパソコン上で管理を受けていて、FX会社のサーバーは関係していないからです。
トレーリングの設定が終わったあとにMT4を閉じたり、パソコンの電源を切ったりすると、発動条件を満たしても動きません。
ログインしていない理由で、トレーリングで狙った利益を逃してしまうケースも考えられます。
従って一度設定したポジションを決済するまで、MT4へのログインをキープすることが必要です。
取引成立の価格から指定値幅分の利益が出ないと機能しない
トレーリングストップは、ポジションを建てた時点から、決めた値幅分の利益が出ないと動いてくれません。
たとえばUSD/JPYが100円のときに買いポジションを建て、トレーリング幅を3円に決めたら、103円に上がるまでトレーリングが始まらないしくみです。
そのためFX初心者は、トレーリングが動く可能性を上げるため、値幅をなるべく小さく設定するのがおすすめです。
慣れないうちは「1円」「0.5円」と狭い値幅を決め、トレーリングが動く可能性を高めましょう。
指定した値幅を飛び出して利益を得ない限り、トレーリングは動きません。
そのため広すぎる値幅設定は逆効果です。
トレーリングストップはMT4でどうやって設定する?
MT4を使っているときにトレーリングストップをやりたくなったら、以下のように設定してください。
番号順でやり方を解説します。
通常の設定方法
MT4ではトレーリングストップを以下のように設定するので、ぜひ参考にしてください。
- 1.チャート内の緑色の一点鎖線を右クリック
- 2.右クリックメニューより「トレーリング・ストップ」という選択肢を選ぶ(プラットフォームによっては「トレイリング・ストップ」という表記もあり)
- 3.新しいウインドウが出現。「取引」タブにて保有中のポジションの数量をチェック
- 4.ポジションを右クリックし、「トレーリング・ストップ」を選ぶ
- 5.「20ポイント」「25ポイント」など区切りのよい数字が選択肢として並んでいるので、そこから選ぶ。「カスタム設定」を選んで好きな数字を指定することも可能
- 6.トレーリング幅のポイントが決まったら「OK」ボタンを押して設定完了
- 7.保有中のポジションリストの左側のアイコンに「T」がついている
※MT4では、1,000ポイントを1円として計算します。
無効化するとき
トレーリングストップを無効化したくなったら、以下の手順を踏まえてください。
- 1.「取引」タブより、Tマークつきのアイコンがあるポジションを右クリック
- 2.「トレーリングストップ」にマウスをかざす
- 3.続いて現れたメニューより「無し」を選べば無効化できる
一括解除するとき
一括解除の場合は、無効化の2まで同じ手順を踏まえ、「すべて削除」を選んでください。
削除確認のウインドウで「はい」を選べば、すべてのポジションでトレーリング解除です。
このようにMT4におけるトレーリングストップの作業はシンプルな手順で行えるので、FX初心者でもすぐにマスターできるでしょう。
トレーリングストップの有効なタイミングは?
トレーリングストップの基本的な使い方をマスターしたら、有効なタイミングを学びましょう。
今回は以下の2つのポイントに分けて解説します。
- ・相場の上昇傾向が続いているとき
- ・下落傾向が続いているとき
相場の上昇傾向が続いているとき
上昇傾向が続いているときは、買いポジションでトレーリングストップを使うチャンスです。
理由は以下の2つになります。
- ・単純に価格上昇による利益を期待できる
- ・上昇のピークを逃しても、引き上がった逆指値レートでの決済で利益を確保できる可能性がある
以上の2つから、上昇トレンドが続いているときにトレーリングストップを使うことで、利益をつかむ可能性を上げられます。
上昇トレンドが終わるときを間違えたとしても、先にトレーリングストップを設定していることで、損失のリスクを抑えられるからです。
下落傾向が続いてるとき
FX相場の下落傾向が続いているなら、売りポジションを建ててトレーリングストップを使いましょう。
理由は以下の2つです。
- ・下落トレンド中の取引により、売りポジションを買いで決済するときの利益が期待できる
- ・下落トレンドが知らない間に終わっていても、トレーリングにより下がった逆指値レートで利益を確保できる可能性
以上から、売りポジションによるトレーリングストップは下落トレンド時に使うことで効果が期待できます。
トレーリングストップとストップロスの違いは?
トレーリングストップと似たイメージの言葉として、「ストップロス」もありますが、これらは意味が違います。
しかし実際はストップロスの代わりになると思い込んで、トレーリングを使い失敗するケースもあるようです。
トレーリングストップとストップロスの違いを学んでおきましょう。
ストップロスの意味を知ろう
ストップロスとはポジションを保有している通貨の相場が、自身にとって不利になってきたときに、それ以上の損失を避けるために決済することです。
FXでは「損切り」と呼びます。
逆指値注文は本来、ストップロスのためにやることです。
たとえばUSD/JPYが101円のときに買い、損失対策として98円に逆指値レートを指定して決済注文を設定したとします。
そのあとUSD/JPYが96円まで下がっても、98円の時点でポジションが売り払われ、2円分の損失は免れる形です。
このようにストップロスとはFXで利益を狙いながら、余分な損失を抑えるやり方として重要になります。
トレーリングはストップロスの代わりにはならない
トレーリングストップを損切りの一環ととらえる人もいるようですが、正しい解釈ではありません。
トレーリングは価格の範囲を設定し、実際の相場が範囲を超えるほどの利益を出さないと発動しないからです。
たとえばUSD/JPYが99円のときに買いポジションを建て、トレーリング幅を2円に設定したとしましょう。
このときUSD/JPYが2円プラスの101円以上まで上がらなければ、仮に97円以下になっても逆指値注文が出ません。
そもそもトレーリングが動いていないからです。
トレーリングを使うなら、ストップロスとして通常の逆指値注文も済ませなければなりません。
上のケースではトレーリング幅を2円に決めたら、1ドル97円の逆指値注文も要します。
このようにトレーリングとストップロスは同じ意味ではなく、セットで使うことが大切です。
まとめ
トレーリングストップはMT4で使える便利な注文方法です。
トレーダーの決めた値幅を超える形でFXの相場が利益を得れば、逆指値注文で指定したレートも動いてくれます。
狙ったトレンドが知らないうちに終わって逆転しても、動いた後の逆指値レートでポジション決済が決まるのが特徴です。
そのため最低限の利益を確保できるメリットもあります。
ただし決めた値幅を超えた利益が発生しないと動いてくれないので、通常の逆指値注文による損切りも設定しておきましょう。
それでも損失対策をしながら、最低限の利益を狙えるのがトレーリングストップの醍醐味です。