移動平均線って何?MT4での設定や見方を分かりやすく解説
「移動平均線って何?」「MT4でどうやって出せるの?」などと悩んでいませんか。
移動平均線はFX相場から今後の価格を予測するうえで、重要なツールです。
知っておくと新しい相場の見方が分かって投資に生かすことができます。
今回は移動平均線を知らない人のために、基本的な定義からMT4での使い方までまとめました。
これを知っておけばFXトレーダーとして成長するきっかけがつかめるでしょう。
移動平均線とは何か?
移動平均線とは一定期間の価格の平均値を対象にしたグラフです。
複数の種類があり、集計期間が異なる2~3本を使うことで価格変動のトレンドが分かりやすくなります。
移動平均線の基本的な意味をつかんでおきましょう。
一定期間の価格の平均値をデータ化したグラフ
移動平均線とは一定期間における終値の平均値をグラフ化したものです。
集計対象期間を決めておき、区切りごとの平均値を出します。
区切りの期間ごとに平均値がどう変わっているかをグラフで示すしくみです。
たとえば1日ごとの価格変動を見る日足チャートを見ていて、25日分の移動平均線を出すとしましょう。
「集計当日から過去25日分の平均値」が毎日出るしくみになり、それらを結んでいるのが移動平均線です。
チャート内において、区切りの期間ごとの価格変動はローソク足が見せてくれますが、それだけでは相場傾向が分からないでしょう。
移動平均線は過去のある時期からの平均価格を示すので、長期的な相場傾向を見られます。
移動平均線には複数の種類がある
移動平均線には複数の種類があります。
代表的な3つを以下にまとめました。
種類 | 意味 |
---|---|
単純移動平均線(SMA) | 一定期間における終値の平均値を出し、その変化を結んだ線 |
指数平滑移動平均線(EMA) | 一定期間における終値の平均値を出すが、直近の価格を重視してグラフを反映させている |
加重移動平均線(WMA) | 一定期間における終値の平均値を出すが、直近に近いほど重要度を高める形でグラフを反映させている |
今回の記事における移動平均線は、「単純移動平均線」として解説しています。
しかし実際は、直近の値動きを重視する形式もあります。
移動平均線は複数あるので、FX経験が豊富になってきたら、単純な形式以外も使ってみるとよいでしょう。
集計期間が異なる2~3本を使おう
移動平均線は集計期間によってグラフの形が異なります。
集計期間が違う別々の線を同時に使いましょう。
短期と長期のトレンドをチャートに同時反映させれば、相場をより深く分析できるからです。
一般的なのが日足チャートで、5日と25日の移動平均線を同時に出すことでしょう。
5日分で短期の相場傾向をチェックしながら、25日で長期的な流れを分析できるからです。
さらに長期的なトレンドを示した75日移動平均線を3本目として使うトレーダーもいます。
このように集計期間が異なる移動平均線を同時に使うことで、相場の流れをつかみやすくなるでしょう。
移動平均線を使うメリット2つ
移動平均線を使うメリットは主に2つです。
長期的なトレンドのほか、買いや売りのサインを見極めることにも役立ちます。
2つのメリットについてまとめました。
長期的なトレンドが分かる
移動平均線を使うことで長期的なトレンドが分かります。
チャートを見れば短期的な相場の上昇または下落の傾向は分かります。
しかし相場の上下を見ているだけでは、長期的な流れを読みづらいでしょう。
移動平均線は、ユーザーが集計期間を決めれば、その日数分の平均価格を区切りごとに出してくれます。
一定期間の平均値の推移をチャート上に示すことで、相場の長期的な傾向を見やすくなるでしょう。
たとえば週足のチャートを見ていて、集計期間の数字を13に設定すると、13週分にわたる週ごとの終値の平均値がデータ化します。
直近13週の平均値が1週間ごとに更新され、それぞれが線グラフで結ばれることで、長期的なトレンドが分かるしくみです。
このように長期的なトレンドを見やすくするツールとして、移動平均線は役に立つでしょう。
買いや売りのサインが分かる
移動平均線のおかげで買いや売りのサインが分かることもポイントです。
たとえば平均線の下落が終わり、上昇傾向が続きそうになったとしましょう。
新しく通貨を買い、値上がりしたところを売って儲けられるサインと考えられます。
またFXの値動きを示すローソク足と移動平均線の位置関係も重要です。
ローソク足は移動平均線に沿って動くことが多いので、大きく離れているときは時間をかけてもう一度近づくことがあります。
ローソク足が移動平均線より上にありすぎたら、反動で下落が続くサインでしょう。
ローソク足の位置が下すぎるときは、上昇のサインかもしれません。
このように移動平均線は、ローソク足だけでは分からない相場傾向を読み取ることで、買いや売りのサインを与えてくれます。
移動平均線は価格変動から反応が遅れることも
移動平均線は、相場の価格変動から反応が遅れることがあるので、信じすぎないように注意しましょう。
平均線のデータが過去の終値をベースにしている以上、リアルタイムの値動きに対して後追いになっているからです。
そのため移動平均線だけを見て、相場を判断するのは危険です。
たとえば平均線の上昇が続いていても、過去の平均価格の推移がそうなっていただけで、リアルタイムの相場では下落傾向が始まっているかもしれません。
あくまでもメインで見るのはチャートのリアルタイムの値動きにしましょう。
移動平均線はチャートの情報をサポートするためのツールとして考えてください。
MT4で移動平均線を示す方法
MT4のチャート上に移動平均線を示す方法を紹介します。
手順は以下のとおりです。
- 1.ナビゲータウィンドウより「インディケータ」を選択
- 2.サブメニューから「トレンド」をクリック
- 3.「Moving Average」を右クリックし、サブウインドウより「チャートに表示」を選ぶ
- 4.設定画面で表示方法を決め、OKボタンを押す
これだけでMT4に移動平均線を示せます。
シンプルな方法でリアルタイムの価格変動に当てはめられるので試してみましょう。
移動平均線の項目別設定方法
移動平均線の設定画面にはさまざまな項目があります。
以下の4つの形式をカスタマイズできれば、希望どおりのデータを見られるでしょう。
期間
リアルタイムから過去にさかのぼる期間の数です。
同じ期間の数でも、チャートにおける区切りの期間により集計範囲が変わります。
ここでの期間数は「平均値の対象とするローソク足の本数」に置き換えれば分かりやすいでしょう。
たとえば期間数を25にしている場合、日足チャートなら25日分の平均値が出ますが、1時間足なら25時間分です。
5分足なら125分の平均値が出ます。
チャート内における区切りの期間も意識しながら、期間数を決めましょう。
種類
移動平均線の形式です。
主な選択肢として以下があります。
形式 | 意味 |
---|---|
Simple | 単純移動平均線 |
Exponential | 指数平滑移動平均線 |
Smoothed | 平滑移動平均 |
LinearWeighted | 加重移動平均線 |
初心者は単純移動平均線を意味する「Simple」を使いましょう。
移動平均線で長期的なトレンドをつかむことに慣れるうえでは、単純型がふさわしいからです。
扱いに慣れたと判断したら、ExponentialやSmoothedに切り替えてみるとよいでしょう。
移動平均線にもさまざまな形式がありますが、FX経験が浅いうちは単純型がおすすめです。
適用価格
移動平均線に適用する価格の種類を決めます。
以下の種類があるので、ひとつを選びましょう。
種類 | 意味 |
---|---|
Close | 終値 |
Open | 始値 |
High | 高値 |
Low | 安値 |
ここでは「Close」がおすすめです。
移動平均線は一般的に終値を基準としています。
Openをはじめ他の3つを指標としたものは平均線には使われません。
移動平均線の適用価格はCloseが一般的なので、初期設定でもそのように決めましょう。
見た目
見た目とは移動平均線の色や太さです。
これを変えただけでは平均線の集計データに影響しませんが、ユーザーにとっての見やすさや好みに合わせることで、使いやすくなるでしょう。
複数本の移動平均線を使うときは、色を別々に分けてください。
できれば「赤と青」、「黄色と緑」のような、明るい方と落ち着いた方に分けるのがおすすめです。
好みや見やすさに合わせて、移動平均線の色や太さも決めましょう。
MT4の移動平均線から分かる売買シグナル
MT4で移動平均線を使えば、売買シグナルが分かります。
しかしダマシを受けないように注意も必要です。
ここではゴールデンクロスやデッドクロスのような初心者向けの方法から、3本を使ったときのパーフェクトオーダーまで解説します。
ゴールデンクロスは買いのサイン
ゴールデンクロスとは、短期と長期の2本の移動平均線を使っているときに起きる現象です。
短期が長期を下から突き抜けたら、価格上昇傾向が始まる可能性があります。
FX通貨の買いポジションを建てれば、値上がりによる利益を期待できるでしょう。
移動平均線は集計期間が長いほど緩やかに動き、短いほど上下に動きやすくなります。
そのため、短期と長期の線が交わることがあるのです。
このうち短期線が下から長期線を突き抜けたときは、平均相場もリアルタイム相場も上昇傾向にあると読めます。
ゴールデンクロスが起きたら、FX投資において買いのサインと考えましょう。
デッドクロスは売りのサイン
デッドクロスはゴールデンクロスとは逆で、短期線が上から長期線の下へ突き抜ける現象です。
この場合、価格の下落傾向が始まることが多く、売りのサインと考えられます。
デッドクロスが起きたら、買いポジションで保有している通貨を売り払った方がよいでしょう。
ポジションがないときにデッドクロスが起きていたら、
持っていない通貨を売ることで「売りポジション」を持つのがおすすめです。
先に売ったときより値下がりが起きていれば、買い戻してみましょう。
売ったときよりも安く買うことで、利益を確保できるからです。
このようにデッドクロスでも、売りと買いのタイミング次第で利益を上げられます。
3本の移動平均線が並ぶパーフェクトオーダー
移動平均線を3本使っているときには、パーフェクトオーダーという現象が起きていないか確かめましょう。
短期・中期・長期の3本の線がきれいに並び続けていることも、投資のサインになるからです。
3本の線がしばらく交わらず、上向きまたは下向きに伸び続けていればパーフェクトオーダーの成立です。
上向きなら価格が上昇トレンドに入っている証拠なので買いのサインでしょう。
下向きなら売りに入るサインと考えられます。
2本の移動平均線がなかなか交わらないときは、3本目を入れてパーフェクトオーダーが起きていないかを見るとよいでしょう。
移動平均線からの「ダマシ」に注意しよう
3つの売買のサインについて解説しましたが、移動平均線には注意点もあります。
クロスやパーフェクトオーダーが起きても、売買後の相場が思いどおりに動いてくれないことがあるでしょう。
これは「ダマシ」という現象で、引っかかると損失につながります。
ダマシを防ぐには、移動平均線と合わせて別のテクニカル分析を同時に使う方法があります。
「MACD」や「ボリンジャーバンド」のような別の分析方法を合わせてチェックしましょう。
移動平均線と別の分析ツールの2つが同時に買いや売りのサインを起こしたとき、利益を上げるチャンスだからです。
移動平均線だけで投資サインを読めることもありますが、ダマシ対策として他のテクニカル分析を使うことも考えましょう。
移動平均線を消すときはどうしたらよい?
移動平均線を消したくなったら、以下の手順を踏まえてください。
- 1.移動平均線の中で右クリック
- 2.表示中のインジケーターから移動平均線を選ぶ
- 3.設定画面で削除ボタンを押し、「閉じる」を押す
以上の3つを踏まえるだけで、移動平均線はチャートから消えます。
別のテクニカル分析を使いたくなったという理由で、移動平均線を消したい人もいるでしょう。
そのときは表示中のインジケーターから移動平均線を選び、削除の作業を済ませれば大丈夫です。
まとめ
移動平均線はFXの相場に関するグラフの一種です。
過去の期間内において、区切りごとの終値を平均化したデータを線グラフで表示します。
これによりFX初心者でも、長期的な相場の傾向をつかみやすくなるでしょう。
さまざまな形式がありますが、単純移動平均線が初心者向きなのでおすすめです。
短期と長期の2本の線を使うことで、投資のサインが分かりやすくなります。
ゴールデンクロスやデッドクロスといった現象をつかまえ、利益のきっかけとしましょう。
今回の記事で移動平均線が気になったら、早速使ってみませんか。