MT4の取引履歴は今後の投資戦略や確定申告に必要なので確かめよう
「MT4の取引履歴って見ておかないとダメなの?」「自分が過去にどんな取引をしたのか確かめてみたい」と考えていませんか。
MT4ではユーザーの取引データを見られる機能があります。
今後の投資に役立てるだけでなく、確定申告のための損益通算にも必要です。
今回は取引データのチェック方法に加え、なぜ見なければいけないのかを解説します。
FXを始めて間もない人は、こちらで取引データの活用方法が学べます。
MT4で取引履歴を見る方法
まずはMT4で取引履歴をチェックする手順を紹介します。
ファイルとしても保存できるので、確定申告用に取っておけることもポイントです。
履歴を見るまでの手順
MT4で取引履歴を見たくなったら、以下の手順に従いましょう。
- MT4画面下部にあるターミナルウインドウのメニューより「口座履歴」を選ぶ
- 取引履歴の期間を設定する。「1ヶ月」「3ヶ月」「全履歴」の選択肢があるほか、手動で好きな期間を決められる
- 口座履歴タブ内に、設定した期間中のデータが出る
以上が取引履歴をチェックするまでの手順です。
口座履歴の項目一覧
口座履歴にはさまざまな項目があります。
チェックしやすくなるように、それぞれの意味を確かめましょう。
項目 | 意味 |
---|---|
注文番号 | FXのポジションを識別する番号 |
時間 | 取引成立でポジションを持ち始めた時間 |
取引種別 | 以下の注文形式のどれか Buy:買い Sell:売り Buy limit:指値買い Sell limit:指値売り Buy stop:逆指値買い Sell stop:逆指値売り |
数量 | ロット単位による通貨数量。取引所によって1ロットが1万通貨や10万通貨などと異なる |
通貨ペア | 銘柄。たとえばUSD/JPYなら、日本円の支払いで米ドルを売買することになる |
価格 | ポジションのオープン価格 |
決済逆指値(S/L) | 損切り値。決済でいくら損したか |
決済指値(T/P) | 利益確定値。決済でいくらの利益があったか |
時間 | ポジションを手放した時間 |
価格 | 手放したときの価格 |
手数料 | 取引手数料 |
税 | ポジションに対する税額。通常は発生しないので0 |
スワップ | スワップポイント |
損益 | ポジションに対する損益 |
コメント | ユーザーが設定したコメント |
他にも対象期間中のデータについて以下の項目が出ます。
項目 | 意味 |
---|---|
損益計 | FX投資によるプラスマイナスの合計 |
クレジット計 | 合計クレジット金額 |
入金計 | 期間中にいくら入金したか |
出金計 | 期間中にいくら出金したか |
以上のように、さまざまなポイントから自身のFX投資の成果が分かります。
履歴はhtmlファイルとして保存も可能
取引履歴はhtmlファイルにまとめて保存できます。
こうすれば確定申告時に損益通算を行うとき、すぐに取り出せるので便利でしょう。
以下の手順で保存可能です。
- 口座履歴上で右クリック
- 「レポートの保存」または「詳細レポートの保存」を選ぶ
- デスクトップのファイルスペースに保存する
以上の手順でデータを分かりやすい場所に確保できます。
チャートに履歴を出すインジケーター「Show History」
「Show History」はチャートに直接取引履歴を出せるインジケーターです。
これを使えば、チャート上で自身がどのタイミングで取引を行ったかが分かるので、自身の投資におけるクセや今後の戦略の見直しなどに役立つでしょう。
Show Historyの特徴や使用手順について解説します。
過去の取引のタイミングが印になってチャートに出る
Show Historyは、今までの取引データがチャート上に出てくるシステムです。
MT4にインストールすることで、自身がチャート上のどのタイミングで新規注文したり、決済したりしたかが分かります。
チャートに現れるデータは、自身が設定した期間だけです。
たとえば2か月分の履歴を見たいと思ったら、Show Historyが示すものも2か月分の注文です。
このように自身が見たい期間分の取引履歴をチャート上に示すことで、自身のFX取引における傾向を知れて、今後の対策に役立てられます。
使用手順
Show Historyの使用手順は以下のとおりです。
- 目当ての通貨ペアのチャートを選ぶ
- チャートにShow Historyをドラッグ(マウスの左クリックをキープしたまま特定の場所へ動かすこと)
- チャート上において、取引時間に印が現れる
かんたんな手順でShow Historyを使えるので、FX初心者でもマスターできるでしょう。
なぜ取引履歴のチェックが必要なのか
FXの取引履歴は、定期的にチェックする必要があります。
理由は以下の2点です。
- ・今後の投資に役立てるため
- ・確定申告に必要なため
取引履歴はFX経験の浅い人が見落としがちな項目ですが、自身がどれだけ儲けているか、または損しているかをチェックするうえで重要です。
この章では取引履歴を確かめる必要性をまとめました。
今後の投資に役立てるため
今後の投資に役立てるうえでも、定期的な取引履歴のチェックは大切です。
これを見ることで、自身の損益だけでなく、投資における傾向も分かるからです。
FX投資は、無計画で進めても利益にはつながりません。
取引履歴から自身の勝っているときや負けているときのクセを見直し、失敗のリスクを減らすために投資計画を組むことがポイントです。
投資に成功するためには、定期的にデータをチェックし、今後に生かすよう心がけましょう。
確定申告に必要となるため
FXで利益を出したら、確定申告を要する場合があります。
たとえば年収2,000万円以下の給与所得者なら、FX利益が20万円以内なら申告しなくても大丈夫ですが、超えたときは納税が必要です。
確定申告に備えて税金計算をする人が多いといえますが、計算作業を素早く済ませるために取引履歴を保存するとよいでしょう。
定期的に損益を記録することで、申告が必要かが分かるからです。
確定申告に備えて普段から損益を記録する習慣をつけることが大切です。
取引履歴から今後のFX投資に役立てるポイント
取引履歴をチェックすれば、自身のFX投資におけるくせが分かり、今後の戦略をたてなおすきっかけにもなります。
FX初心者は以下の4点に注目してください。
- ・利益または損失を出しやすい時間帯
- ・買いか売りどちらのポジションが多いか
- ・注文や決済時間前後の相場傾向
- ・通貨ペアごとのデータ
それぞれのポイントをチェックしていきましょう。
利益または損失を出しやすい時間帯
取引の時間帯は重要なチェックポイントです。
利益を出しているときは何曜日の何時にポジションを建てたり、決済をしたりすることが多いか見ておきましょう。
損失時の注文タイミングを見ることでも、負けグセが分かります。
たとえばFXで損失が多いときは、新規注文や決済の時間を見てみましょう。
特定の時間帯に偏っていたら、そのときは投資行動に向いていない可能性があります。
特に初心者は用意できる資金が少ない関係上、損をしないために負けグセをつかみ、同じ失敗を繰り返さないようにしましょう。
時間から勝ちグセや負けグセを見いだすことで、どの時間帯に投資すれば儲かりやすいかが分かります。
買いか売りどちらのポジションが多いか
買いか売りのポジションで、どちらが多いかも要チェックです。
片方のポジションしか建てない戦略を使っていれば気にする必要はありません。
しかし両方を使っている場合は、どちらの方が儲かりやすいかを見るうえで重要です。
買いと売りのポジションで、利益が出やすい方が分かっていれば、今後は有利になりやすいポジションでの投資に集中できるでしょう。
無計画に両方のポジションを取り続けているようでは、利益を出しづらいと考えられます。
ポジションによる利益の違いも、取引履歴ははっきりと見せてくれます。
両方のポジションを使い分けているなら、履歴チェックをきっかけに片方に絞ってみましょう。
注文や決済時間前後の相場傾向
自身がポジションを建てたり手放したりしたときのチャートの傾向も要チェックです。
注文した前後の時間帯における値動きに傾向があれば、投資のクセがついている証拠だからです。
この分析方法は取引履歴だけでは分からないので、過去のチャートと合わせてチェックする必要があります。
たとえば買いポジションでの負けグセがついているときは、以下のような現象がよく起きていないか確かめましょう。
- ・損切り直後に値上がりしている
- ・買ったときより価格が上がっているときもあったが、ピークを逃した結果、大きく損をした状態で決済している
このように自身が注文したタイミングとチャートをセットでチェックすることで、クセが分かります。
負けグセが見えてきたらすぐに戦略を立て直すことが大切です。
通貨ペアごとのデータ
通貨ペアごとのデータも要チェックです。
FXトレーダーの通貨に対する傾向は、主に2パターンです。
- ・USD/JPYのように、ひとつの銘柄に絞って取引を続けている
- ・EUR/JPY、AUD/JPYのように、複数の銘柄で取引をしている
前者は利益が目立つならそのまま続けてもよいですが、そうでなければ銘柄を切り替えることも考えましょう。
後者はどの通貨で利益または損失が多いかが履歴から分かりやすいといえます。
特定の銘柄に投資先を絞るきっかけになるかもしれません。
このように通貨ペアごとの投資分析も、今後の戦略を立てるうえで重要です。
FXの収益は確定申告義務の場合あり
FXで収益を出すと、その金額次第では確定申告をしなければいけません。
これから本格的に為替取引に取り組むなら、以下のポイントを踏まえて税金への対応に備えましょう。
- ・FXの利益で確定申告が必要なケース
- ・FX利益にかかる税率
- ・FX利益は申告分離課税に当てはまる
- ・所得から必要経費を差し引ける
- ・繰越控除の適用
- ・確定申告ができる期間
FXの利益で確定申告が必要なケースは?
給与所得が年間2,000万円以下の場合、仕事の給料や退職金以外の所得が、FXの利益も含んで20万円を超えているときに確定申告の必要が出ます。
逆にいえばFX取引の年間収益がマイナスだったり、プラスでも20万円以内に収まっていれば、確定申告を気にする必要はありません。
MT4の取引履歴をチェックして、年間プラス20万円を超えていれば、確定申告しなければならないと覚えておきましょう。
確定申告時、FX利益にかかる税率は?
FXで20万円オーバーの利益が出たら、一律20.315%かかります。
以下の内訳が理由です。
- ・申告分離課税にあたり、所得税15%+住民税5%がかかる
- ・2013年~2037年の25年間は復興特別所得税として所得税額に2.1%かかる。所得税15%×2.1%=0.315%
このようにFXで20万円を超える利益が出た場合、そこから20.315%分の税金を払わなければなりません。
FX利益も含む申告分離課税とは?
FXの利益は申告分離課税なので、他の種類の所得および雑所得とは別で計算しなければなりません。
しかし同じ申告分離課税に入っている所得の種類は、FXの損益に足したり引いたりできます。
対象は以下の種類です。
- ・株式の譲渡所得
- ・不動産を売ることでもらった所得
- ・先物取引の雑所得
- ・山林所得
以上の4種類に関する損益があれば、FXの所得と合わせて計算できます。
このようにFXの利益は申告分離課税として多くの所得の種類とは別で計算しなければなりませんが、株式や不動産売却益など通算できる種類もあることに注目です。
MT4の取引履歴の収益チェックも大切ですが、株式や不動産などに取り組んでいれば、それらの履歴も取っておきたいところです。
所得から必要経費を差し引ける
必要経費はFXの所得から差し引けます。
経費はFXで稼ぐために必要なコストだからです。
FXで20万円を超える年間プラスがあっても、経費を引いたあとで下回れば確定申告の必要はありません。
該当するのは以下の種類です。
- ・売買・振込の手数料
- ・FXの勉強のために参加したセミナーや本に払ったお金
- ・FXの勉強や記録のために使った筆記用具やソフトウェア代
以下の種類を必要経費と認めてもらうには、FXのために使った時間とそれ以外での使った時間をそれぞれ合理的に計算し、FX用の道具として扱ったことを認めてもらう必要があります。
さらに費用に関係した領主書などの証拠を7年間保存しなければなりません。
- ・FXのために買ったパソコンやスマートフォン、周辺機器の代金
- ・プロバイダー費用の一部
以上のように、さまざまなコストがFXの必要経費として認めてもらえます。
MT4の取引履歴が出した収益をもとに、必要経費を引いたあとの数字を出しましょう。
繰越控除の適用ルールもチェック
FXの利益は繰越控除も可能と知っていますか。
それを受ける順番を以下に示しました。
- ある年におけるFXの年間収益がマイナスで終わる
- 年間20万円を超えていなくても確定申告
- 翌年以降の3年にわたり、繰越控除が適用される
繰越控除できるマイナス分をキープしているうちは、ある年の収益で20万円を超えていても、前年までのマイナス分を加えて収益を下げられます。
たとえば1年目の結果が-50万円なら、翌年に+60万円の利益を出しても、前年分を加えて10万円にすることで課税対象になりません。
このように繰越控除も、FXをめぐる税金のキーワードなので覚えておきましょう。
MT4の取引履歴を毎年保存していれば、各年の損益が分かるので繰越控除の計算も楽です。
確定申告ができる期間は?
確定申告の時期は2月中旬からの1か月間が一般的です。
たとえば2018年分の確定申告は、2019年2月18日~3月15日でした。
なお2019年は新型コロナウイルスの影響により期間が延長されました。
確定申告の締切を意識すると、他の所得の申告も合わせて2月上旬には準備を始めることが望ましいといえます。
FXの利益のためにも確定申告は基本的には2月中旬からの1か月と覚えておきましょう。
まとめ
MT4の取引履歴は今後の投資戦略に役立てたり、確定申告に備えた収益チェックができたりします。
データを保存することで、自身の取引のクセが分かるのではないでしょうか。
確定申告から考えても、普段から収益データを保存していることで、納税の準備がしやすくなるメリットがあります。
このようにMT4の取引履歴は大切な情報なので、定期的なチェックを忘れないようにしましょう。